冷徹執事様はCEO!?
窓から陽射しが差し込み、私は目を覚ます。

見慣れない天井だったので一瞬ここが何処か解らなかった。

ああ…そうか。昨日は田中の家に泊まったんだ。

結局、田中は寝室を私に明け渡しリビングのソファーで眠った。

もう起きてるかな。

寝室の引戸をそろり開けて、リビングへ出て行く。

ソファーの上で布団にくるまれた蓑虫のような物体がゴロンと転がってる。

布団を捲って行くと、田中の無防備な寝顔がそこにあった。

いつも涎を垂らしている私とは違い、天使のようだ。

整った形の唇に指先でそっと触れてみる。

ここから辛辣な言葉が出てくるなんて、なんだか勿体ない気がしてくる。

どうせなら蕩けるような甘い言葉を聞いてみたいものだわ。

私がジッと寝顔に見入っていると、長い睫毛が二、三度痙攣し、ゆっくり持ち上がる。

「おはよ」

田中はビクリと身体を強張らせると慌てて起きあがった。

「な、なんだよ。寝込みを襲う気か?」

はい、でた。毒舌。

「可愛いから見てただけ」

「悪趣味だな」田中は嫌そうに眉根を寄せた。

サイドテーブルに置いてある眼鏡を取って掛ける。

「ねえ、田中。お腹空いた」

田中は棚の上にあるデジタル時計に目を向けた。

「10:00か…完全に寝坊だな」田中は寝癖のついた髪をイラただしげにクシャリとかきあげた。
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