冷徹執事様はCEO!?
「身体の関係を持って情にほだされたか?」

「匠ちゃんのそうゆう所、大っ嫌い」

私は鼻の頭に皺を寄せた。

「何でも合理的に物事を考えようとして、デリカシーに欠けるのよ。だから女性には疎まれるんだわ。そんなんじゃ英茉が年頃になったら寄り付かなくなるわよ?!」

私は一気に捲し立てた。

匠ちゃんはホワホワしている次女の思わぬ反撃に言葉を失っている。

田中は横で愉快そうにニヤニヤ笑って見ている。

「だけどな、燁子、稜はつまみ食いするぞ?あのモデルとだって切れて無いんじゃないか?」

「リナとは一切連絡取ってない。そのせいで燁子に逃げられたんだからな」

『リナとは』って、『は』ってなんだ。他の女とは連絡を取っているんだろう 。

「二子玉の料理研究家」田中がボソっと呟いた。

「何のこと?」私は意味が解らず聞き返す。

「奥さんに許してもらえたのか?匠」

田中は唇の片端を上げ底意地の悪そうな笑みを浮かべた。

「お前…どこでそのネタを…?」匠ちゃんの笑顔がピシリと固まった。

田中は人指し指を横に振った。

「俺の情報網を侮ってもらっちゃ困るな」

「相変わらず性格悪いな」匠ちゃんは笑顔で毒づく。

「あの、全く話が見えないんだけど」私は2人の顔を交互に見る。

「まあ、燁子が思うほど、匠も完璧じゃないって事だよ」

「はあ?」私は田中の言わんとすることがよく解らず、首を傾げた。
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