冷徹執事様はCEO!?
何なのよ…この手は。

しかも驚くほどナチュラルにボディタッチをしてきたのは意外だった。

長い睫毛に縁取られた田中の漆黒の瞳が真っ直ぐに私を捉える。

こうして改めて見るとつくづく端正な顔立ちをしている。

だけど田中は綺麗なだけじゃない。

しっかり棘がある。

「もう、からかわないでよね」

私は真っ赤になったまま唇を尖らせる。

「本気だったらどうします?」

田中は私の髪を撫でながら、口の端をあげてニヤリと笑った。

「へ…」

私は更に真っ赤になって、固まった。その様子を見て田中は堪えきれず吹き出した。

「その困った顔が見たかった」

「はあ?」

「信頼していただけるのも嬉しいのですが、あそこまで無防備でいられるのも男としては正直複雑な気分です」

田中の言わんとする事がよく理解出来ず私は首を傾げた。

とりあえず、私はからかわれていたらしい。

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