冷徹執事様はCEO!?
「燁子様がご自分で話されないなら、私の口からお伝えします」

田中はテーブルの上にあるスマートフォンに手を伸ばす。

「ちょっと待ちなさいよ!」

止めようとして慌てて立ち上がるが、脚がもつれて中腰の姿勢のまま田中に背後からタックルをかました。

2人とも重なりあいながら床に倒れ込む。

「いったあい」

田中のオーデコロンがふわりと香り、ハッとした。

どうやら田中の上に乗っかって押しつぶしていたようだ。

慌てて私は上半身を起こす。

「ごめんね、大丈夫?」

「まったく…」

田中も腰をさすりながらよろよろと上半身を起こすと、身体の上に跨ったまま2人の視線がばちりと合う。

「迫るならもっと色っぽく迫ってもらえますか」

「はあ?違うわよ!事故よ事故!」

私は真っ赤になって否定する。

「てっきり気が変わったのかと思いました」

「な、なに言ってんのよ!そんな訳ないじゃない」

「私はそちらでも悪くないかな、と思ってますけどね」なんて言いながら田中はさりげなく、私の腰に手をかける。
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