イケメン先生は危険男子でした!?
☆☆☆

それから数十分後。


あたしは1人で【資料室】の前に来ていた。


廊下はいつもよりもくすんで見えて、心なしかキュッキュッという音もくぐもって聞こえてきた。


「ふぅ……」


【資料室】の前で深呼吸をするのは、一体これで何度目だろうか?


今まで数えきれないくらいここで緊張をほぐしていた気がする。


でも、今回の緊張は今までと少し違った。


先生を好きだから緊張しているんじゃない。


先生に嫌われるかもしれないという不安から、緊張しているんだ。


緊張はいつまでたってもほぐれなくて、あたしは半分諦めた状態でドアをノックした。


するとすぐにドアが開いて先生が姿を見せた。


それはまるであたしを待っていたような速さで、ドキッとする。
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