君の瞳にうつるのは
1、謎
…くちゃ…ぺちゃ…
カビとホコリが匂う、薄暗い部屋に時折響く音。

音がするたび、内心うんざりする。


口がゆるいのか?


自分を見ているであろう年いった男。

この男に変わってからすでに2日。定期的な周期音には飽きてきていた。

「いい加減、白状したらどうだ?」

言葉を発しない事はもう慣れた。

無言の返答をして、これで1周。始めに戻る。


このやり取りも何度目だろうか?
まあ、数える気もないけれど。


ベッドの上に座り壁に寄りかかる態勢も、さすがに疲れてきた。
力をわざとずらし、少しずつ横になる。


何を言われようが、どうでもいい。
どうせ危害を受ける事はない。



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