イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


異常なくらいの緊張感も……想いを告げてくれた後、祥太がくれたにっこりとした笑みも。
18年の期間どころじゃない。
あの時の事は24年間生きてきた今でも、人生の中で一番うれしかった瞬間だった。

でも多分……それが私の答えだ。
あの頃から気持ちが更新されていない……それが、答えだ。

ドアの向こうから、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきて、直後にノックもされずにドアが開けられた。
ここは脱衣所で、シャワーを貸したのは風間だ。
私が着替え中だって事だって十分考えられるっていうのに、なんでノックのひとつもできないんだと睨みつける。

「入ってるんですけど」
「知ってるけど、やけに長いから気でも失ってんのかと思ったんだよ」
「女の子が入ってるって知りながらドア開けるとか、変態呼ばわりされたって文句言えないじゃない」
「おまえ、服着てんだからいいだろ」
「結果論でしょ」

もう一睨みすると、風間は尚も平然とした態度で「上がったんならこっち来い」と偉そうに言う。
だから、覗き魔だとか一言憎まれ口を叩いてやろうと思ったのに。

「今お湯沸かしてココア入れてやったから」

そんな言葉を続けるから、言おうと思っていた悪態を呑み込む。

「この間は切らしてたのに……買ったの?」

風間はココアは飲まない。
大学の頃から決まって、自動販売機で買う時は微糖のコーヒー、家で作るインスタントはブラックだ。


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