イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「どこの馬の骨かも分からない悪い男に捕まるくらいなら、同じ顔して傷ついてた風間さんに捕まってあげればいいのに、とか思う自分が新鮮です。
男なんか大っ嫌いだし滅亡すればいいと思う私でも、さすがにあんな一途な気持ち見せつけられたら応援したくもなるんですかね」
「傷ついた顔って……風間が?」
そういえばさっきもそんなような事を言っていた気がして聞くと、村田さんが呆れたように笑う。
「傷ついた顔してましたよ。あーんな、何が起きてもぶすーってしてるのに、実莉先輩が顔見ようとしないってだけで眉下げちゃって。
放っといたら、その辺のビッチに食べられちゃうんじゃないですかね」
「いいんですか?」と聞く村田さんに、目を伏せて笑顔を浮かべる。
「私に……止める権利なんかないし」
「言うと思いました」
私がやっと言った言葉に即答されて驚くと、村田さんが続ける。
「責任感強くて悪い事のできない実莉先輩はきっと、風間さんのためを思って自分の気持ちは殺すんだろうなって思ってたので。
そういうところ、潔いと思うし、実莉先輩らしいです。でも……本気で好きなら、そういうのなりふり構わずいっていいと思うんですけどね。
ズルい事でも悪い事でも関係なく」
珍しく風間の肩を持つ村田さんに少し驚いていると、壁にかけてある時計がメロディーを奏でだした。
19時。閉店時間だ。