イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
『昨日の夜から連絡してるけど、あいつも電話出ないんだよなー。しかも安定の折り返しなしだし(笑)。
まぁいいや。俺からメールしとくから、実莉も会ったら誘ってみて』
すぐに返ってきたメールを見ながら、そりゃそうだと内心思う。
風間は昨日の夜、私と一緒だったんだから。
「罪悪感とか、感じないものなんだなぁ……」
ぽそりと呟いてから、分かった、と返信する。
会ったら誘ってみて、なんて。
祥太には顔合わせない日もある、なんて嘘ついたけど、何階もある本社ならまだしも、こんな支店じゃ会わない方が難しい。
今日、奇跡的にまだ風間と会っていないのは、私が意識して避けてるからだ。
昨日の今日で、どんな顔したらいいのか分からなくて。
昨日の夜……私が風間と一緒だったって言ったら、祥太はどんな反応をするんだろう。
風間と、浮気をしたなんて言ったら……さすがに驚くのかな。
自分を棚に上げて、怒るかな。
それとも、仕方ないって許す?
いつもの、私みたいに。
付き合ってから何度となく浮気を繰り返している祥太は、どんな事を思うんだろう。
そんな事を思いながら、スマホを鞄の中に放り投げロッカーを閉めた。