イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「おまえの内線はなんであんなに冷たいんだよ。俺が出た途端に何も言わずに相手と繋ぎやがって。
誰だか分からなくて焦るだろーが」
「その前になんで風間は社外の人にお店の番号教えるわけ?
おかげで毎回私が取り次いでるんだからね。冷たくもなるでしょ!」
「仕事関係はちゃんと自分の教えてるからいいんだよ。
店の番号教えてんのは、それ以外で、無下にすると後々マズそうな女相手の時だけだし。
適当にいないって言えっていつも言ってんだろ。なのに律儀に取り次ぎやがって」
「それが迷惑だって言ってんの! 阿部商社の受付嬢とか花井商事の専務の娘とか、もうなんなの。適当にあしらえなそうな肩書の女ばっかり集めて!
大体、営業でもないくせになんで仕事で行った先々で女引っかけてくるの?!」
「好きで集めてんじゃねーよ。あっちから言い寄ってくるから仕方なくだろ」
「はいはい。モテていいですねー。
とにかく、次からは絶対に自分の携帯番号教えてよね。本当に迷惑なんだから」
〝それに、昨日の今日で一体どんな顔して会えばいいのかも分からないし〟
そう思っていたのは本当だけど、実際に顔を合わせたら気まずさなんてものはほぼ皆無だった。
昨日の夜あんな関係になったにも関わらず、風間は相変わらず口が悪いしおまけに減らず口だし。
そんな風間を前に、私もいつも通り、通常運転だ。
外見のいい風間がモテるのは大学の頃から知ってるけど、それを同じ会社に入ってから思い知らされた。
甘いというよりは、凛々しく整った顔にがっしりとした体型。身長も170半ばはある。
そこから醸し出される堂々としたオーラは、完全に傲慢な性格からくるものではあるけど、外見と相まって魅力的に映るらしい。