義兄(あに)と悪魔と私
 
集合場所へ来る途中、隣のクラスの女子といる比呂くんを見かけた。
二人はあまり人気のない公園の裏手の方で何かを話していた。

修学旅行や文化祭、こういうイベント事になると告白する人が増えるらしい。

「もう時間過ぎてるし、あたし探しに行ってくるね」

麻実がそう言ったので、私は慌てた。
今比呂くんを見つけてしまっては、気まずい雰囲気になること間違いなしだ。

「あっ……えっと、私レストランに忘れ物したんだ! 取りに行くついでに探してくるよ」
「え……大丈夫? あたしも行こうか?」

大丈夫、と言おうとした時、意外にも瀬戸くんが口を挟んだ。

「おれが北見と行くから。梶川は先生に出発遅れる連絡入れといて」
「う、うん……分かった」

麻実が頷くと、瀬戸くんはにかっと笑って、私の腕を引っ張って歩きだした。

(えぇ……!?)
 
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