義兄(あに)と悪魔と私
「どうしたの、この程度でギブアップ? こんなのいつもに比べたら全然だよ」
腰を比呂くんに支えられてなんとか立っている私は、彼を見上げることしかできない。
「まさか……そんなに気持ち良かったの?」
比呂くんの驚いたような声が、ふわふわした頭を鮮明にした。
自分の醜態に気付いて、体温が急上昇する。
「……っ! 見ないで……」
消えてしまいたいくらい恥ずかしくて、私は顔伏せた。
(おかしい、おかしい、おかしい。こんなのは私じゃない!)
不意に、服の中に私のものではない手が入り込む。
それは無遠慮に肌をまさぐり、私の身体を震わせた。
「やっ……、やめて!」
「何を今更」
「修学旅行だよ? みんないるんだよ?」
「声出さなきゃ、分かんないよ」