遅咲きの恋は花屋にて。

episode3:花屋の彼は○○歳





「先輩って…結婚詐欺とかに遭いそうですよね。」


昼休憩、後輩の伊藤に花屋での出来事を話して、伊藤が口にした最初の一言はそれだった。

「う、うるさいわね!あんたもあの場にいたら絶対花買ってるわよ!」
「私なら花と一緒に連絡先も交換してますよ〜。」


さらりと言ってみせる伊藤に、春香は悔しそうに口を歪める。
伊藤はカルボナーラを食べ終わるとすぐ、メニューを手にした。


「先輩デザート何にします?」
「いらない、あんた本当によく食べるわね。」
「デザートは別腹ですよ〜。…で、先輩は結局どうなんですか?」
「何が?」
「その花屋の人のこと、好きなんですか?」


春香は飲み込もうとしていたマルゲリータのピザを、喉に詰まらせかけた。思わずむせ返し、胸元をトントンと叩く。


「先輩…分かりやすすぎです。」
「んんっ、はあー。いや、別にそんなんじゃないからっ。格好いいなと思っただけで。」
「なんでそこで意地張るんですか。花も買えて、好きな人もできて。一気に成長じゃないですか。」





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