遅咲きの恋は花屋にて。
番外編
ピッ ガタンガタン
伊藤はお釣りを取ると、缶コーヒーを二つ取り、松田に渡した。
「え?これ俺の分?」
「はい、ヒデ先輩の臆病さに乾杯です。」
「お前な…まあありがとう。」
松田は伊藤から缶コーヒーを受け取ると、ミニテーブルの上に置き、ポケットの中の煙草を取り出した。
「俺吸いたいし、お前出てけば?」
「奢ってくれた人にその言い方酷くないですか〜?」
「いや、せっかくお前いい匂いしてんのに煙草の煙ついたら嫌だろ。」
そう言って松田はライターを手にしながら、伊藤が出て行くのを待った。だが伊藤は自動販売機の横のベンチに腰掛けた。
「そういうこと言うの…春香先輩にだけだと思ってました。」
伊藤は少し悲しそうに、でも、ほんのり頬を赤らめて言った。