エターナル・フロンティア~後編~

 見慣れない物体を首に巻かれたことに違和感を覚えたのか、リオルは前足で首輪を引っかく。このままでは買ったばかりの首輪をボロボロにされてしまうと感じたソラは、慌ててリオルの行動を制するとずれてしまった首輪を直し、飼い犬はこれを身に付けないといけないと話す。

 ソラの説明が通じたのかリオルは首輪を引っかくのを止めると、礼儀正しく助手席に座る。しかし今まで首の周囲に何も身に付けていなかったので首輪の存在が気になってしまうが、ソラが身に付けてくれたので我慢する。物分りのいいリオルにソラは口許を緩めると、そっと抱き締めた。

「出発する」

「はい」

「ああ、そうだ。その首輪、似合っている」

「有難う……ございます」

「嬉しくないのか?」

「リオルの反応がいまいちです」

 ユアンに褒められて嬉しくないのか、リオルは明後日の方向を見ていた。最初は時間の経過と共に心を開いてくれるのではないかと淡い期待を抱いていたが、懐く様子は一切ない。

 それどころかますます嫌われてしまい、視線が合うと全身から威嚇のオーラを発せられる。もしソラが抑えていなければ飛び掛ってくるだろう、それだけの勢いがリオルにあった。

「そうか、残念だ」

「気にしていますか?」

「いや、別に」

 自身に言い聞かせるかのように囁くような声音を発した後、ユアンは運転席のドアを開き乗り込む。その一連の動作を眺めていたソラはユアンが乗ったのを確認すると、自分も助手席に乗り込んだ。

 リオルの定位置は、太股の上。走行中に暴れられると事故に繋がってしまうので、ソラは両腕でリオルの身体を固定する。気性が荒く短気の犬であったら両腕で固定された瞬間嫌がり暴れ出すものだが、ソラに抱き締められているということもあり大人しく座っている。

「出すぞ」

「どうぞ」

 ソラの返事と共に自動車が動き出し、目的の場所――レナの自宅へ向かう。レナの自宅へ近付くにつれ、緊張感が増していく。彼女が一体どのような話をしてくるのか。自身の過去を思うといい内容ではないということはわかるが、その中に微かな希望を求めてしまう。
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