エターナル・フロンティア~後編~
そもそも、理由がないのに謝ることはできない。それ以上に、一方的に批判してくる人物に謝罪をする必要はない。ユアンは不機嫌であっても口調は冷静を装い、彼等の言葉を上手く横に流す。それでも無駄な労力を使いたくないのがユアンの本音で、気分も悪くなっていく。
「謝れば、気が済むのか?」
「そのようなことはない。正直、多くの苦汁を舐めさせられた。一回の謝罪で、治まるわけがない」
「そう……ですか」
彼等の一方的な言葉の数々に、ユアンは心の中で盛大な溜息を付き続ける。多くの者達と出会ってきたユアンにとって、このような人物が一番厄介ということを知っている。自分が持たない物を持っている人物に敵対心を抱き、同時に内に溜めていくのは汚いまでの劣等感。
だから相手がどのように誠意を見せても満足することなく、不満の方が蓄積していく。そのような人物を一度に三人相手にしないといけないのだから、百戦錬磨のユアンも苛立ちを覚えてしまう。それでも三人は変化に気付いていないので、ユアンの神経を逆撫でする。
しかし、今日のユアンはいつものユアンと違う。普段の彼であったら容赦ない一撃を相手に食らわしているが、今日は珍しく相手の要求を受け入れ三人の謝罪の言葉を言う。信じられない対応に、ソラとイリアは驚きを隠せない。また周囲でやり取りを見ていた者達も、目を見開く。
「これでいいか」
「一度か?」
「もう一度、言って欲しいのか?」
「それだけの苦痛を感じている」
「ああ、我々の気が治まらない」
この言葉に、ユアンは付き合いきれないという雰囲気を態度で示す。発表によって疲れている中で、面倒な人物に捕まってしまった。そして日頃の不平不満を言われ、謝罪まで求められた。温和な人物であっても限界を感じ、切れているだろう。そう、心の中で呟いた。
「行くぞ」
「宜しいのですか?」
「関係ない」
ユアンはソラとイリアの側に行くと、肩を竦めながら戻ることを告げる。ユアンの判断にソラはそれでいいのか尋ねるが、内心ではこれ以上面倒なことに発展しないで済むと安堵する。だが、相手は二度目の謝罪を行なわないユアンの行動を許さないのだろう、汚い言葉を飛ばす。