天才に恋をした
むさぼるようにキスを続けた。

「ん…んっ…!」


顔が真っ赤だ。



「可愛い。苗…」


可愛い過ぎる。


苗を抱きしめ、またキスをする。

キスが次のキスを呼ぶ。




「ヤバい。キリがねぇな」



時計を見た。

あと30分てとこか。

もっと欲しい。

もっと時間が。

そして苗が。



苗は涙目で、俺を見ている。


「可愛い」

もう一度言った。

もう二度と言うチャンスがないかもしれないから。



「苗、可愛い」


ひたいを合わせた。


「キス以上はしない。だから、今だけお前の時間をくれ」

「も…できない」

苗が息も切れ切れに言う。


「それも全部、俺にくれ」



唇から漏れる息さえも、

カラダもココロも

その奥にある魂も

全て俺のものにしたい。



苗が答えるのも待たず、また唇を重ねた。

何も逃したくない。



苗の全部が欲しい。



胸が苦しくなるほど、息をするのを忘れるほど、

俺は苗を求めてる。



その感情をなんて呼ぶのか、

分かってるけど強烈すぎて、口にできなかった。



ただ狂いそうになる一歩手前で、

一秒一秒をお互いのカラダに刻み付けようとした。
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