天才に恋をした
翌日の練習後。

陸玖が、眉をひそめた。



「じゃあ頼んだの?」

「頼んだよ」



陸玖が大げさなため息をついた。


「浅はかなヤツだな」

「何でだよ?乃愛、学年3位だよ?」

「お前に気があるって分かってるじゃん」

「だから?」

「いい予感がしない」



悲観的なヤツだ。

昨日、熱心に丁寧に教えていた乃愛を思い出す。



「ちゃんと教えてたよ」



陸玖が冷たい目で言った。

「俺は『お前に』頼んだろ?」


なに、コイツ熱くなってんだ。

「要は成績が上がればいいんじゃん」


陸玖はそれ以上、何も言わなかった。

でも俺を見る目が気にくわない。


「なんだよ」

「ふーん」

「なんだよ!」

「乃愛みたいな女とヤったら、人生終わるぞ」

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