天才に恋をした

22-2

夜になって、部屋でサッカーの録画試合を見た。

プロになるつもりも実力もない。

でも出来るだけ長くサッカーと付き合っていきたい。



リビングが騒がしくなったと思ったら、やっぱり陸玖が来ていた。


部屋のドアがノックされる。


「俺。入るぞ」

「ああ」


陸玖は制服のままだ。

時計を見ると、もう10時だった。



陸玖にクッションを渡す。


「ありがとう。アタマ冷えた?」

「別に」

「処分だけど、明日から謹慎3日に決まったから」

「わかった」


陸玖が意外そうに言った。

「ヤケに素直だな」


俺は目を合わせない。

「どうしようもねぇだろ…」

「俺に言いたいことがあるなら言えよ」



言えねーよ。

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