天才に恋をした

4-2

昼休み。

「真咲」

という声で振り返ると、陸玖が来ていた。



「なに?」

俺が立ち上がると、近くにいた乃愛もついてきた。

「なになにな~に?」



陸玖が渋い顔をして言った。

「サッカー部のことだから、ちょっと」

「え。苗ちゃんのことじゃないの?相談に乗るよ?」

「違う、違う」




陸玖は俺を連れて、近くの空き教室に入った。



「なんだよ?」

「これ、見ろよ」

「テスト?うわ。苗のじゃん」

「おかしいよ」



何がおかしいのか分からない。

数学のテストだけど、数週間前のより格段に良くなってる。





「けっこう出来るようになってきてるじゃん」

「ちゃんと見て。応用問題が書けてるのに、穴埋めができないの?おかしいよ」



ホントだ…。

応用は難易度に関わりなく、すべて正解している。

なのに、穴埋めは間違いだらけだ。



「でも穴埋めも全部できてないわけじゃねーし…」

「その正解してるところさ、宮崎さんが転校してきてすぐにテストで出たんだよ」



意味が分からない。

俺はそうとう間抜けな顔をして、陸玖を見た。


「……乃愛がウソ教えてるってこと?」

「違う」



コイツ、珍しく興奮してる。

初めて見たなぁ。いつも冷静なヤツだから…




「宮崎さんは、問題を解いてるんじゃない。『暗記』してるんだよ!」




< 15 / 276 >

この作品をシェア

pagetop