天才に恋をした
「間違ってたって…言いたくもなるだろ…自分の息子が、まさか…まさか…」

「間違ってないんだと思う。まぁくんと苗ちゃんは、これが正しい関係なのよ…」


親父が目を見開いた。

「どこが正しいんだよ…!?」

「声が大きいっ」

「とんでもないよ…俺は…まさかこんな…」



姉貴は気の毒そうに、親父を見つめた。

「お父さん…この二人は、好きとか嫌いを超えちゃってるよ」


母ちゃんもアッサリ追い討ちをかけた。

「もうカップルだよ」




親父が目をつぶり、天を仰いだ。

精魂尽き果てたらしい。

「どうして、こうなっちゃったのかなあ…」



次の瞬間、親父がするどく俺を見た。

「ニヤケてんじゃないよ!」

「ニヤケてねーよ」

「苗ちゃんがお前を選んだ訳じゃないんだからな!」


こんの親父…テンション下がることばっかり言いやがって。




「そうかなぁ…」

母ちゃんが言った。


「だって、真咲と行った場所に居たなんて…」

「もう寝るっ俺は寝るっ」

親父は唐突に話を断ち切って、二階へと上がって行った。



母ちゃんもあくびしながら言った。

「寝よ…」

< 179 / 276 >

この作品をシェア

pagetop