天才に恋をした
トリツカレた

5-1

乃愛は、平然と白状した。

「知ってるよ。え?だから?」

「それ、言えよ!」

「知ってると思ってたー」

「知ってるわけないだろ」

「一緒に住んでるのに?」




知るわけねーし。

すっげーウンザリ。




「それってさ、これからも私が居た方が良くない?」

「なんでだよ」

「だって、やっぱり男には言いにくいことも沢山あるよ。気づかないことも多いみたいだしさ」

「姉ちゃんが来るから!」

「それは、それでいいと思うの。でも同年代の女子も絶対必要。これはもう。うん」



迷いのない目で言われると…。

本当にそうかもしれない。

苗のこと、さっぱり分からないし。



陸玖に報告すると、呆れられた。


「馬鹿だなー。うまく丸め込まれて」

「いや。でも確かにそうだろ?」

「今に『アナタの子供できちゃった!』とか言われても知らないからね俺は」


ヤッてねーし。

ヤル気もねーし。

たぶん。



「じゃあ、今日も来るんだ」

「来るよ」


陸玖がうんざりした顔をする。


「しょーがねーだろ。オンナのことなんか分からねーんだから」

「何、避けてんの?」

「は?」

「なんで宮崎さんを避けてるの?」


今度は、俺があきれる番だ。


「避ける?キョーミがねーんだよ!」

「何年もこれから自分の家で暮らすのに?」

「暮らすったって…」

「どういう人かぐらい知ろうとするでしょ」

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