天才に恋をした

33-3

奥さんが家から走ってきて、私を止めた。

お父さんは、どっちでも良さそうに私を見て、また歩き出した。



「お父さん」って呼んだけど、振り返らなかった。



翌朝、こっそり家を抜け出して、村まで歩いていった。

村まで…?

5時間くらい?



静かだった。

本当に。


土の道も


水のない川も


村に着いても―
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