天才に恋をした
「無視は止めろ!お前は何階だ!?この間のテスト何位だ!?」


何にも考えずに体が動いた。

思いっきり、相手に足払いを掛ける。


「あひっ」


倒れ込んだ相手の顔面を踏みつける直前で、陸玖の顔が浮かんだ。


「ふっふわあっ」

ギリギリ耳の横をかすめた。



「俺の女に触るな」



足元で、真っ青になった三位が口を開けたまま固まっている。



「聞こえたのか?」

「あ…」

「聞こえたかって言ってんだよ」

「あ…かかカノジョか」

「カノジョなんて言ってねーだろ」



後ろから、別の生徒の声がした。


「その人、宮崎さんだよ」

「宮崎さん…ええ!?」

と上体を上げる。

こいつには、この事実の方が痛いんだな。



まだ尻をついたままの三位男の腕を掴む。

「ひっひやあっ!」

また何かされると思ったらしい。

そのまま引っ張り起こし、鼻先で言ってやった。


「次、俺の女に触ったら踏み潰すからな」




カバンを掴んで、ドアを振り返る。

そこに居たのは、苗だけじゃなかった。


うちの親父と、

初老の紳士。


これって…

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