天才に恋をした
親父たちの結婚四十周年祝いと、俺たちの入籍祝いで、村瀬家に家族みんなが集まった。



「宮崎くん宮崎くん!」

兄貴たちがふざけて呼ぶもんだから、チビたちもマネして連呼する。


「苗ちゃんがボス?」

一番上のチビが言った。


「ボスは苗の親父だろ」

「ふっひっひっひ」

「なんだよ…」

「ひらしゃいん」


コイツ、どこで覚えてきた言葉だ!

捕まえようとしたら、後ろから髪を引っ張られた。


「陽人!痛っ、引っ張るな!」

「みゃーちゅ」

「みゃーちゅじゃねぇよ」


姉貴が嬉しそうに言った。

「増えたねぇ」



苗を見た。

その顔は、いつも通り。

結婚した実感も喜びもなさそうな花嫁だ。




「みんなお前の家族だぞ」


苗が驚いたように俺を見た。

「ワタシの?」

「そりゃそう…」


チビたちがさえぎった。

「きまっとるやん!だってなぁ、まぁくんと結婚したんやから。まぁくんとみんなは家族やん?苗ちゃんも家族やんか!」


苗が箸を置いて、部屋を見渡した。


「えへへへ」


今ごろ分かったのかよ…


笑ってる。

可愛すぎ。


「おーっとぉ、宮崎くんがニヤけております」

「にっ、ニヤけてねーし!」

「ニヤしゃいん」


みんな腹を抱えて笑う。


村瀬家……うるせぇ。


早くリーグブルに行きたい…
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