天才に恋をした
なんだ、それ…

ナニ言ってんの、コイツ……


昼メシどころじゃない。

苗をソファに座らせた。


「ナニ?お前、春一のこと意識してんの?」

「イシキ?」

「好きなの?」

「うん」



あっさり過ぎて、本心が分からない。


「自分が言ってること分かってるか?」

「うん」


いや、分かってない。

この顔は分かってない。


「春一のこと俺よりも好きってこと?」

「うーん?ウ~ン?」

「春一に家に来てほしいんだな?」

「うん」

「シュエは?同じくらい来てほしい?」

「シュエも来てほしいけど、春一くんにも来てほしい」



オワッテル。

予想外過ぎる。


これ、どーすりゃいいんだよ…


「春一の何が…」

「春一くんは、誰かが熱くなると下げてくれる。寒がってる人がいると暖かくしてくれる」


先週のことを言ってるんだ。

家に来たシュエと、あの苗を崇拝するウイグル系イスラエル人で口喧嘩になった。

俺はほっといたけど、結局は春一がやんわり止めたんだ。


苗が、そこまでヒトを観察してるとは思わなかった。


それで、どうする…?

わかんねーよ…


アタマが真っ白のまま立ち上がった。


「寝る…テキトーに食え」
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