天才に恋をした
二日目の夜に、春一とシュエが来た。


「おお、いかにも賢そうなオトモダチ!」

と、春一が声を上げた。


陸玖が笑う。

「いや、ワッダーパーク目指してる人に言われてしまうと…」

「陸玖は弁護士になるの?裁判官になるの?」

「決めてないなー。司法試験受かってから考えるよ」


苗が親の仇のように、コーヒー豆を擦っている。


「相変わらずだな、苗ちゃんは」

「苗、座ってやったら?」


春一の隣に席を作った。

「ホラ」

「い、いいのに…」

椅子を押す。

苗が恥ずかしそうに首をすくめる。


陸玖が眉を寄せた。

「え…え、え、え??どういうコト?」

「こういうコトだよ」


スープに一味唐辛子を振りながら、シュエが言う。

「私には理解できない」

「どんだけ唐辛子入れてんの。そっちの方が理解不能」


春一が、陸玖に答える。

「でも俺たちは何にもないからね?」

「あ、そ、そう…」

「ツマは可愛いけどぉ、嫁にするなら真咲かなぁ」


真っ赤になったスープをすすりながら、シュエがつっこむ。

「おかしいよ」

「春一は、言うことがイチイチ気色悪い」




陸玖があっけに取られている。




「食えよ」

「だって…いいの?」

「しょうがない」



春一が声を上げる。

「ツマはピクルスが好きだから、俺のあげる~」

「ありがとう」

「小学生みたいな好き嫌いするなよ…」


いつも通り和やかに、ワッダーパークの夜は更けていった。
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