天才に恋をした
アカツキを目指して

42-1

陸玖がドイツ経由で帰国してすぐに、集中講座が始まった。

勉強に専念できるように、母ちゃんがやって来て、家事を取り仕切ってくれた。


「私がクスリ漬けになる前に、合格してよねー」


メシ、ウマイ。

洗濯物も考えずに出せる。

あー、気が楽!!



ディベートは問題がないと先生に言われているので、苦手の哲学に専念する。




「哲学って…得意なやつのアタマ、どうなってんだよ」

「哲学が得意なんて、本当の哲学者とは言えないんじゃなーい?」


と母ちゃんが哲学じみたことを言う。



何故なら、哲学科卒業。

姉ちゃんが小学生になった時、大学に社会人入学した。



「なんで、俺に遺伝しなかった…?」

「私だって何となく楽そうだから入っただけだもん。どっちにしても哲学が好きなんて言う子供イヤ~」

「あっそ」


苗が笑ってる。

こんなババァだけど、居ると居ないじゃ大違い。



最終日に、EU統一テストの結果が発表された。


「やっ……た……!」


一位だ。


苗に二点差で、


勝った!


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