天才に恋をした

7-2

手がこんな調子だから、別メニューでラン二ングするしかない。

テストゲームくらい参加させてくれよ…。


このまま、レギュラーに戻れなかったら?


ないない!

それはないっ!

あり得ねえ!



…どうなんだろうな。




怪我する前から、スタメン外されつつあったよな。


「真咲先輩、頑張ってくださーい!」

遠くで声が聞こえる。

答える気にならねぇ。



そうだ。

怪我する前から、乃愛がおかしいって分かってた。苗のせいじゃない。

乃愛だ。

俺が悩んでたのは、乃愛のせいだ。


あんなヤツを家に入れたのは誰だ。



…俺じゃん。





走る向きを変えて、全力疾走した。


「え…?」

「なんだアイツ。どこ行くんだよ」


みんなの声が聞こえてきたけど、気にしない。

俺には、やるべきことがある。


「いいぞー!真咲ー!」


誰かの声も遠くから聞こえてきた。
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