天才に恋をした
ここで、苗がゆっくりと降りてきた。

母ちゃんと目が合うと、恐る恐るという感じで頭を下げた。


「これはスゴイね。冴えないね!」


オイオイ。そのまんまを言うなよ…。

しかも本人の前でさ…。


すかさず乃愛が言った。

「え~でも、苗は可愛いんですよ?」


今までの俺とは、もう違う。

乃愛の隠しようのない優越感が、はっきりと聞き取れた。

苗は口をちょっと開けて、母ちゃんを珍しい動物のように眺めている。



「そりゃ可愛いは、可愛いよぉ」

「ですよね~?」

「バージンだもん当然でしょ」





バ…

バージ・・・・・・・・・・





「なんつーこと言うんだ、アンタ!」

「こっちの子はもうオトナだけど。ね!」





空気が凍った。



「あ~あ、お腹すいちゃった。ケータリングに電話してよ~」
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