天才に恋をした
初めてのザセツ

9-1

乃愛は、

「日差しがまぶしい」

とか言う理由をつけて、席を一番後ろの廊下側に移動させた。



「真咲の家族に気に入られちゃってさぁ。でも私も勉強しないといけないし、もうムリですって断ったの」

と言っているらしい。



もう、どうでもいい。

あの女の名前を目にするのも口にするのも嫌だ。


今こうやって、ランニングの最中も女子が、

「真咲ファイト~!」

「真咲せんぱーい」

なんて声を出してるけど、何考えてるか分かったもんじゃねぇ。



また女子の歓声が響いた。

俺に向けてじゃない。

グラウンドで、ミニゲームが始まったらしい。

陸玖や角田の笑顔が見える。


ああ。
見たくねぇ。
< 39 / 276 >

この作品をシェア

pagetop