天才に恋をした
「苗のせいでしょ」

教室が静まり返った。

後ろを振り向く。

乃愛が見透かしたような目で、こっちを見ていた。


「当たり前だろ」



今なら、乃愛のしたことを笑える。

実際、俺は笑ってやった。



「だってオレ、お兄ちゃんになったんだから」

「オニーチャン!?」

「お兄ちゃんて!」

「じゃあ、そんな新米お兄ちゃんに問題です」


先生も乗ってきた。

また教室が柔らかい空気に包まれた。
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