天才に恋をした

10-3

近所で評判の洋菓子店に入った。

住宅街の中にある小さな店なのに、今日も混み合っている。



甘い香りとバターの香り。

嫌いじゃない。


俺、苗、母ちゃん、陸玖…

陸玖はよく食うし、超甘党だから二つ買おう。



なじみの女性スタッフさんが声をかけてくれる。



「あ~!真咲くん。お待たせして、ごめんね」

「あ、いいっすよ」

「もう一個オマケしとくからね!」

「ありがとうございます」



別のスタッフが、からかう。


「マナミさん、真咲くんファンだからねー」

「いいじゃないね~?」

「店長に言いますよ~」

「マズイ!早く持って帰って!」



俺は笑いながら、店を出た。
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