天才に恋をした
玄関には、もう陸玖の靴があった。

リビングでは、フルメイクの母ちゃんが紅茶を入れていた。



「おそいっ!紅茶が冷めるぅ」

「陸玖、もう来てんの?」

「あんたが出てすぐに来たわよお。苗ちゃんがいたから良いけど、私あの顔を披露するところだったんだからね!」


ああそうかよ…



「来て早々に、ケーキは出さないだろ。紅茶だけ出せばいいんだよ」

「あんたは何でも言うのが急なのぉ!私まだ着替えてないんだからねっ」

「知らねーし」


俺は紅茶を持って二階へ上がった。

部屋では、陸玖が苗に英語の朗読をさせているところだった。



「よお」

「おっす」

「おお、紅茶かぁ!てことはアレもあるな!」

「当然ある」

「よっしゃ!!」


本当に甘いものが好きなんだな。



「宮崎さん、いい声してるよね」

「かもな」

「発音もいいよ。どこで覚えたの?」

「アジア中回ってたらしいよ」

「俺は、宮崎さんに聞いてんの」

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