天才に恋をした
チマヨった夏

12-1

「え…ウソでしょ。『うちの学校の』後輩?」

陸玖が、あ然としてる。

当然だ。



「しかも『志木沙織』って、明らかに志木先輩の妹だよね」

「名前は後から知った」

「付き合う前に聞こうよ」

「次からそうする」

「次なんてないな」



俺は肩を落とした。

ひさびさ付き合った女の子は、

サッカー部の先輩の妹だった。



「来たよ」

陸玖が緊張した声で言った。

俺は振り返らずに聞いた。


「沙織ちゃん?」

「違う…先輩の方」


げ!



「村瀬」

「オッス!」

すぐさま振り返る。




似てない…

似てないにもほどがあるだろ…





俺は、ディフェンダー以外の何ものでもない、その身体を見上げた。


「妹と付き合うって…?」

「…お…オッス!」

「ずっとお前のファンだったけど、乃愛がいたから、あきらめてたみたいだな」

「そ…そうなんすか」



話が途切れる。




「まぁよろしくな」

「オッス…」


気まずい。
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