天才に恋をした

12-2

期末の結果が出た。

順位としては8位で悪くはない。

陸玖が1位。



苗はどうにか平均点を死守し、夏休みの補習は免れた。



「苗のためには、補習があった方が良かった気ぃするけどね」

「真咲くんて、妹思いだね」

沙織ちゃんが言う。



部活後のデートは温室近くのベンチが定番だ。

奥まってるし、農薬をまいてるから虫が少ない。



缶ジュースをつかむ指の細さに感心するけど、

「…別に」

練習疲れで眠い。



「あ…疲れてるよね。ごめんなさい」

沙織ちゃんが、ベンチからサッと立ち上がる。



「いや…いいんだけど、ごめん」



俺も立ち上がる。

「ギブス取れたら、テンション上がっちゃって」

「うん。ずっとランニングだけだったもんね」

「そうなんだよ」

「ようやく調子が出てきたんだもんね」



優しいよなぁ。

可愛いし、気がきくし、言うことないな。
< 58 / 276 >

この作品をシェア

pagetop