Sugar&Milk
「いいよ。俺がいないときに入ってもいいし。無理しないで付き合っていこ」
ニコッと笑う瑛太くんに力が抜ける。お互い無理しないでいこうと言ったのは私なのに、いつの間にか合鍵をもらう話になった。これでは関係が進展したようなものだ。
「年末は店休みになるからずっと家にいるんだ。朱里さんは仕事終わりに来てもいいし、泊まらないで帰ってもいいよ」
「ふふっ」
思わず笑いが漏れる。この子のペースにとことん巻き込まれていく。
「俺の思ったことも言っていい?」
「どうぞ」
「朱里さんに別れようって言われるのかと思った……」
不安そうな顔になるから私は首を横に振る。
「そんなこと言わないよ。瑛太くんと別れるなんて考えたこともない」
「よかったー!」
安心したのか瑛太くんはケーキを頬張った。
「瑛太くんを嫌いになんてならない」
「うん。俺も」
私から顔を近づけて瑛太くんの頬にキスをする。瑛太くんが私の方に顔を向けたから今度は唇を合わせる。僅かに唇が開くと瑛太くんの舌が口の中に侵入する。いつかのようにクリームの甘い味がした。
瑛太くんは私の部屋に泊まった。抱き締められて寝たけれど、服を脱ぐことはなかった。初めてセックスをしないで一晩共に過ごした。でもそれは不自然な時間なんかじゃなくて、指を絡ませるだけでも十分に幸せな時間だった。
朝起きると私は誕生日の翌朝と同じく残ったクリスマスケーキをお皿に盛って瑛太くんを起こした。
「やっぱ朝から朱里さんがそばにいるのっていいな」
ベッドに腰掛けた私の腰に瑛太くんがまとわりつく。
「瑛太くん今日は学校行くの? バイト?」