ハイカロリーラヴァーズ

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 教材の入った段ボールを資料室へ運んでいる時に、スマホが振動した。あたしは段ボールを床に置いて、スマホを見る。青司からだった。

「今晩、うち来る?」

 夕飯を一緒に食べるかということだ。今晩か……どうしよう。

 青司に、松河先生のことを話そうか。いや、違う。青司に言っても状況は変わらない。松河先生の交換条件はあたし自信だ。

 あとで返信をしよう。いまは考えがまとまらない。

 仕事、仕事をしなくちゃ……。

「はーなっ」

 後ろから声をかけられて、強烈にびっくりした。振り向くと、青司だった。

「ちょっとぉ、驚いた」

「俺が後ろに居るのに気付かないし」

 青司がまわりに誰も居ないか確認して、あたしのそばまで来た。

「居るくせにメールしてんの」

「だって、そう簡単に声かけらんないだろ」

「まぁ、うん」

「大丈夫。居ないよ誰も」

 たしかに、こっちの方は生徒があまり入ってこない場所だ。それでも注意しないと。これ以上、誰かに見られるとまずい。

「だめだよ。仕事中だから。誰かに見られたら……」

「大丈夫だって、少しぐらい。今晩、どうする?」

 メールの返事をいましろと。あとで返信しようと思っていたのに。

「うん、ちょっと、まだ分からないから」

「残業?」

「うん、うんーそう。遅くなりそうだし」

 自然と今夜は行かないような流れになってしまった。そういうつもりじゃないのに。ごめん、青司。あたしいまちょっと考えがまとまらない。松河先生のことがちらついて、うまくあなたと見られない。

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