今度その手をつなぐ日は
あたしは、いけない恋をしていた。


好きになった人に、家庭があった。


美人の奥様と、かわいらしい女の子がいた。


駄目なことは、勿論分かっていた。


だけど、唯一。


その人と過ごす時間が唯一の安らぎだった。


構えていたほど″都会″は、恐ろしくはなかったけれど、優しくもなくて。


その人の温もりすら無くなってしまったら、あたしは都会の片隅で溶けて消えてしまう気がした。


やりがいはあるけれど、思っていたのと少し違う仕事。


だけど、その為に都会で一人で生きている……ことになっているんだから。

そんなの、今更誰にも言えないよ。


寂しいだなんて。
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