【短編】真夜中のサンキャッチャー
無駄に細長いオフィスの、隣り合った島。ストライプのシャツに無地のタイ、腕まくりはせずにフックの付いたアームバンドで留めている。胸のポケットには万年筆。そして軽いシトラスの香水が彼のトレードマーク。

私の席は彼の課に背を向けて座る位置。だから、普段から彼をコッソリ見つめるなんてことは出来なくて。

でも分かる。ふんわりとシトラスが香るときは小井川さんはオフィスにいるって。


匂いフェチ、なんて言われたらそれまでだけど……。


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