【短編】真夜中のサンキャッチャー
*─*─*

夕刻。この時期は日が暮れるのも早い。オフィスの窓の外は夕暮れから夜景に変わる。


「木嶋さん、じゃあお先に」
「お疲れさまでした」
「あんまり無理しないでね」


課の同僚たちは定時になるといそいそと帰って行った。手のつけられなかった仕事を片付けてしまおうと、私は引き出しのファイルを手にした。

ブラインドの閉め忘れに気付いて席を立つ。人もまばらなオフィス。残業組も少ない。

ん?


……ふわり、香るシトラス。

暗い窓ガラスに映るのは私と、そして。


「大丈夫?」


小井川さん?


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