Sに堕ちる


「真琴」

「………」

「……ククッ。マジで堕ちやがった」

「……っ、堕ちてなんか……っ!」

「嘘つけ」

「………」



見抜かれてる。何もかも。


壁ドンにドキドキしたことも。

たった今言われた言葉に射抜かれてしまったことも。



「堕ちたんだろ?」


今も尚、堕ちている最中だってことも。


きっと、全部見抜かれてる。



けど、悔しいから絶対に“堕ちた”なんて言ってやらない。



「堕ちてねぇとは言わせねぇからな」



そう思ったけど、どうやら迅の方が一枚上手だったらしい。


にやり、と、してやったり顔で笑う迅に唇を噛み締める。



「お前が言ったんだぜ?“壁ドンされたら絶対好きになる”って」

「そ、れは……」


確かに言った。


言った、けど。


「だからって……」

「いいから大人しく捕まっとけよ」

「……んっ、」


不意に落とされたキスに、言おうとしていた文句が全て飲み込まれていく。

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