Sに堕ちる
「まこ」
「……っ」
フッと迅の熱い吐息が耳に掛かり、体が硬直する。
もう、どうすればいいか分からなくて。
ただジッと相手の出方を待つことしか出来なかった。
「真琴」
「……っ、」
普段は呼び捨てなんてしないくせに、なんで急に呼び捨てにするの?
変だよ。
絶対に変。
迅も変だけど、されるがままになっている私も変。
迅にドキドキしてるなんて………絶対に変だ。
「真琴」
三回目の囁きが聞こえた、その時。
「──堕ちたかよ?」
鼓膜を振るわせたのはさっきみたいな甘い囁き。
……ではなくて。
含みのある、悪魔のような囁き。