そんな恋もありですか？

「なんっだ、甥か。

　そうかぁ」

はははっ
そう笑うと
愉快そうに厨房に行ってしまった。

あゆは落ちたマグネットと掲示物を拾い集め、
　掲示板に張りつけた。

「これ持って早く帰れ」

紙の包みの中にはさっき味わったばかりの昨日の失敗作をアレンジしたものが入っていた。

「シェフありがとうございます」

「明日からまたたのむな」

「はい」

裏口から出ると、
妙に太陽がまぶしくて、
何度も瞬きをした。

（さっきの、『壁ドン』だよね？

シェフって、私のことが好き？

きゃあどうしよう、
明日からどんな顔で合ったらいいの？

さっきの脅迫みたい告白？は
ちょっとこわかったけど、
あの優しい笑顔を向けてもらえるならそれもありかな？）

残された２週間が楽しい時間になるかもしれない。

そんな期待であゆの胸がいっぱいになった。



ＥＮＤ．