女子力高めなはずなのに
聞こえなかったかな……。

『今どこにいる?家?』

あ、良かった……私だってわかってくれた。

「……うん」

『すぐ行く』

その言葉を聞いたら、なぜか涙があふれてきて口元を手で押さえた。

助けに来てくれるの?

私のことを?

私なんかのことを、助けてくれるの?


小さくうずくまったまま、お父さんの大声と扉をドンドンと叩く音をじっと身を固めてやり過ごした。

子どもの頃、押し入れに隠れていたあの感覚を思い出す。

短い時間だったのかもしれないけれど、終わりのない永遠に続く時間にも感じた。


「おい!そこで何やってんだよ」

井川さんの声!

本当に来てくれたんだ……。

「なんだお前?娘の家に来て何が悪い!」

「出ないんだろ?もう帰れよ」

「なんだ、てめー」

「ドンドンうるせーっつってんだよ。これ以上騒ぐと警察呼ぶぞ」

「……チッ」


階段をドカドカ降りていく音が聞こえる。

お父さんは「警察呼ぶ」に弱い。

権力のある者に弱い。

力のあるものに弱い。

本当はいろんなものに弱い。

そんなお父さんより、私はもっと弱い。

こんな風に小さく固まっていることしかできないなんて……。
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