女子力高めなはずなのに
ドンドンッ!

お父さんの大声が聞こえる。

怖い。

怖いよ。

あの声を聞くとあっという間に頭が子どもの頃に戻って、体が動かなくなる。


「俺を呼べよ」


一瞬、井川さんの声が聞こえたような気がした。

どうしよう……、本当に呼んでもいいのかな。

バッグの底に落ちていた名刺を取り出して、スマホに番号を入れる。

番号を入れている間も扉をドンドン叩く音が聞こえて、手が震えてなかなか入力できない。

何度か失敗しながらやっと番号を入れて、電話をかけた。


出てくれるかな……?


『……はい』

あ、出た!

でも、声が出ない。

『誰?いたずらなら切るよ』

あ、……ダメ、切らないで。


「……たす、けて」

声にもならない息を吐くような言葉がかすれ出た。
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