女子力高めなはずなのに
言われた住所まで連れて行くと、中野さくらはずいぶん貧乏くさいアパートに住んでいた。

家に着くと彼女は「化粧を落とさなきゃー」と言い始めた。
がんばって自分で落としてくれ。

「じゃあ俺帰るから。ちゃんと鍵閉めろよ」

「やだよー、手伝ってよ」

「はあ?何を?」

「だって私の誕生日だし」

……そうだったのか?

会話は成立していないが、今日が誕生日であることは理解できた。誕生日に一人でバーで飲むなんて、寂しすぎるだろ。

つまり男はいないわけだ。

「何を手伝うんだよ」

「和美ー?化粧落としてよー」

和美?姉妹か?友達か?

何言ってんだ、この酔っ払い……。

「そんなの自分でやれよ」

「やだよー、もうめんどくさーい、でも落とさなきゃー」

うーんと言いながら体を伸ばしてごろごろする中野さくら。

……可愛い。
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