女子力高めなはずなのに
帰り道、中野さくらは途中から「歩けなーい」と座り込んでしまい、抱き上げるはめになった。

「お姫様抱っこはね、見た目以上に男はキツいんだよ?」

そう言いながら抱き上げた中野さくらは、驚くほど軽かった。

「え?」

俺に力がついたのか?いやいや、最近さぼり気味だったから、それはありえない。

抱き上げた細く柔らかな体に、その儚さに切なくなって、また胸が痛くなった。

そんな俺の気持ちなどつゆ知らず、彼女は楽しそうに足をブラブラさせて、靴を飛ばして遊び始めた。

なんだよ、もう!

靴を拾ってまた抱き抱えると、今度は「もっとふわふわしてー」と抱きついてきた。

強烈だな……。

可愛すぎる。

抱き上げて彼女の言う「ふわふわ」をしてやると、「ンフフッ」と笑って抱きついてきた。

楽しそうな俺たちは、周りから見たら恋人にしか見えなかっただろう。本当は違うけど。

いつか必ず本当の恋人になって「ふわふわ」してやる。そう心に誓った。
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