女子力高めなはずなのに
彼女が手に持っていたシートを取って、そっと頬に当ててみた。こんなので化粧が落とせるのか?

肌に傷でもつけたら大変だ……。そう思いながらそっと慎重に肌に滑らせた。


寝ている中野さくらの化粧を落とす俺……。

なんだコレ?

傍目から見たら俺、相当気持ち悪いだろうな。


このシート、たくさん使ってしまってもいいんだろうか?

どこまでやれば落ちているのかさっぱりわからないが、シートに色がつかなれば落ちてるんだろう。


すごく緊張した。化粧を落とすなんて経験、もう二度とないだろう……。

化粧を落とした中野さくらは、いつもより白くて幼く見えた。

顔、小さいな。

触ることに抵抗がなくなって、つい頬を両手で包んだら、柔らかそうな唇が小さくため息をついたから思わず息を飲んだ。

……これはヤバいね。

もう帰らないとダメだ。

メモを残して鍵をポストから落とすと、中野さくらの家を後にした。

あ、しまった……。メモに名前くらい書いておけばよかった。

俺としたことが焦りすぎ。

でも、付き合ってる男がいないなら、遠慮なく近づかせてもらうよ。自分の気持ちにもハッキリと気がついてしまったし。

まずは俺のことを覚えてもらうところから、だな。
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