女子力高めなはずなのに
おかげで風邪をひいた気がする。まあ、これは自分のせいだ。


中野さくらが父親と会ったのは、かなり久しぶりだったらしい。

本当なら父親は自分で追い返すべきだ。でも、今の彼女には少しハードルが高そうだった。

だから「次も俺を呼べ」と言ったら、涙をこぼしてしがみ付いてきた。その姿にまた胸を一突きにされて、切なくなって力いっぱい抱き締めた。

恋人でもないのに、自分の胸に閉じ込めて離したくなかった。

でも、俺の切なさとは裏腹に彼女はすぐ「ごめん、もう大丈夫」と言って俺から離れて立ち上がった。

俺が思うより、彼女は強いんだろうか?それとも、親父が来たのが久しぶりだったから、少しうろたえただけだったのか。

俺は離したくなかったのに。
ずっと抱き締めていたかったのに。

「来てくれて、ありがとう。急に呼んじゃって本当にごめんね」

「もう大丈夫か?」

「うん、大丈夫っ!」

彼女はニコッと笑って見せた。でも、その笑顔もひどく寂しそうで、胸が苦しくて離れがたくて、彼女の家を後にするのは辛かった。
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